WAITING FOR LOS ANGELES by Anthony Hernandez

1970年代、ルイス・ボルツ(Lewis Baltz)などと並んでアメリカの新世代フォトグラファーとして注目を浴びたアメリカ人フォトグラファー、アンソニー・ヘルナンデス(Anthony Hernandez)の作品集。本書の表紙を飾る正方形のカラフルなセラミックタイルは、それが何であるのか私たちの想像力に委ねているかのように並ぶ。モンドリアンの描いたような絵画なのか、ランダムな模様か、はたまた街のグリッドか、もしかしたらどこかのタイル職人が作ったものかもしれないその情景は、ロサンゼルス南部中央の庁舎のファサードを彩っていた。年月を経るに従い、これらのタイルは落書きを防止するためのコーティングが上塗りされ失われてしまった。作者が1970年代後半にバス停を撮ったシリーズ、1980年代に魚釣りのシーンを写したシリーズを経て、このテーマは長年待ち望まれてきた。本作は抽象的な表現であると同時にドキュメンタリーでもある。焦点が当てられているのは空っぽの待合室なのか公衆電話か、はたまたガラスについた傷なのか、、、作者はそれがどれであろうとそれらの「言葉」に対する全ての感覚の中に自身の作品を模様で描いている。作者はシンプルで幾何学的な美しさに注目し、実用的なデザインのフェンスや壁、窓からでさえもその美を巧みに見出している。そこに魂こそ無いものの、気持ちが向くほどに誰かが確かにそこに居たという痕跡が残っており、おそらくはその誰かが戻ってくるのを待っているのである。本書には、批評家のアラン・セクーラ(Allan Selula)と作者によるエッセイを収録。

by Anthony Hernandez

REGULAR PRICE ¥9,900  (tax incl.)

hardcover
92 pages
110 x 120 mm 
color
2002

published by NAZRAELI PRESS