PHOTOGRAPHS by Jack Davison [ANNOTATED ARTISTS EDITION]

イギリス人アーティスト、ジャック・デイヴィソン(Jack Davison)の作品集。2019年に刊行された『PHOTOGRAPHS』は、2021年までに2回増刷され、今回第3刷目が刊行。それを記念してこの「ANNOTATED ARTISTS EDITION」が作られた。作者と版元である「LOOSE JOINTS」は32人のアーティストを招き、現版の各ページに印刷されたイメージへのアンサーとして作品制作を依頼した。国際的に名を馳せたアーティストたちは『PHOTOGRAPHS』作品集を手にし、そこへ自由に落書きや注釈、手直しを加えたり、切り取ったり破壊し、作者の変幻自在なイメージをより楽しんだ。結果、ユニークなコラボレーションによって再編集された一冊が完成した。本バージョンでは、オリジナル版と同じフォーマット、順序、レイアウトを保った中で、そのイメージをほとんど消し去ってしまうような贅沢かつ直感的な加工から、作者自身の幼い姪や甥によるいたずらな小学生のような落書きやクレヨンによる走り書きまで、ある種ハイブリッドかつ遊び心溢れる自由な作品に仕上がっている。参加アーティストには、ナタリー・ドゥ・パスキエ(Nathalie du Pasquier)、アトリエ・ビンゴ(Atelier Bingo)、ルース・ファン・ビーク(Ruth van Beek)、ステファン・マルクス(Stefan Marx)、マリー・ジャコティ(Marie Jacotey)、ジョン・ブース(John Booth)など、それぞれの分野で卓越した才能を発揮する面々と、イラストレーションやコラージュ、コンテンポラリー・ドローイングなどで活躍する新進気鋭の若手作家たちが肩を並べる。

参加作家:Atelier Bingo、Ruth van Beek、Katrien De Blauwer、John Booth、Maisie Cousins、Agnes Davison、Jack Davison、Alec Doherty、Tom Elliot、Freddie & Floyd Fortune Smith、Stephen Fowler、Moira Frith、Masanao Hirayama、Marie Jacotey、Lucy Jones、Emma Kohlmann、Frank Lebon、Loose Joints、Ottile & Hamish Lloyd-Platt、Rob Lyon、Stefan Marx、John McKie、Nathalie du Pasquier、Liaqat Rasul、Tamara Shopsin & Jason Fulford、Bahati Simoens、C. W. Smallbones、Hatty Staniforth、Conie Vallese、Matt Willey、Wilfrid Wood、Michaela Yearwood-Dan、Christina Zimpel

(前作テキストより引用)
本作は2007年から継続して制作するイメージを用いた実験の成果を1つのシリーズとしてまとめている。独学で写真を学んだ作者は、画家が絵を描くように直観や天性の感覚に従い、日常に埋没したシュールで官能的なものを掘り起こすような写真を撮る。明暗を強調することで絵に深みを出す表現技法「キアロスクーロ(明暗法)」や、意味を曖昧にすることや逆に隠された意味を明らかにすることもできる写真の力が、そのユニークで巧妙なアプローチにおいて存分に生かされている。反転し水面下に沈んだ世界のようなそのイメージは、明快で鮮明なディテールが立ち現れたかと思えば、蜃気楼のようにかき消えていく。まるで揺れ動く振り子のようである。濃い陰影とタイトなフレーミングを特徴とする本作は、紛れもなく映画的な美意識で貫かれている。レイヤーを重ね合わせたイメージの1つ1つが見るものの連想を刺激し、実際に写っている文脈から遠く離れたところまで想像が広がっていく。近年世間の注目を集める作家であるが、つつましやかであらゆるものを包み込むような姿勢は変わっていない。本書においては、日常の出来事をシンプルに捉えていながら、丹念な演出と編集によるセットアップ写真からミステリーと深い意味を湛えたイメージへと実にさりげなくシフトしている。作者のイメージには手と目が繰り返し登場する。握りしめた拳、顔を撫でている手、看板の中からこちらを睨みつける目、鏡越しにきらめく目と、この2つのモチーフは作品のあちこちに姿を現している。見ることと感じること、知覚と想像の境界といった力強い緊張感を象徴している。本書では、作者の視点から見た世界を写した謎めいたポートレイト、風景写真、静物写真がきめ細やかなシークエンスとなり、こうした2つの対立する状態の間をふわふわと漂いながら、情感溢れる複雑な世界観を表現している。

by Jack Davison

REGULAR PRICE ¥16,500  (tax incl.)

hardcover
136 pages
240 x 255 mm
color, black and white
limited edition of 1,000 copies
2021

SIGNED BY JACK DAVISON

 

published by LOOSE JOINTS