LOVE’S LABOUR by Sergio Purtell
アメリカ人フォトグラファー、セルジオ・パーティル(Sergio Purtell)の作品集。1970年代後半から80年代半ばにかけ作者は毎年夏になると、ニューヨークからロンドンまでの安価な往復航空券と、ヨーロッパ中を自由に旅行できるユーレイルパスを買い、浮いたお金で好きなように欧州内を旅して回った。作者は放浪の本質を理解していた。独裁政権が始まる寸前にチリから亡命した18歳の時、写真にのめり込んだ。美術の授業を受けているうちに、どうしてもヨーロッパを見ておかなくてはならないと思うようになった。そしてついに自分の地を訪れた時、サンティアゴでの生活がよみがえってきたという。ヨーロッパの人々の独特な癖や習慣、建築物、ゆったりとした生き方、朝のカフェ、涼し気な噴水の側で過ごす午後、一日の締めくくりに地元のバーで飲む一杯のワイン。
「1人の青年が愛を求めて旅に出る。ヨーロッパ大陸を放浪するうちに、彼は過去を忘れ、今を生き、旅に感謝することを学ぶ。どうしたら人は恋に落ちると思う?この世界で写真を撮っていると、今この瞬間を生きることについて考えざるをえない。意外かもしれないが、写真においては多くのものが見過ごされてしまう。ちょっとした身振り、視線に宿る輝き、肌の質感、首の形、ぽっと赤らんだ頬、伏せた目、控えめな魅力。それでも写真に限って言えば、恋は盲目ではないのである。愛は、我々自身よりも大きな何かとのつながり、そうでなければ本当の我々の姿を教えてくれる何かになり得る。しかしそれには、絶え間ない献身が必要だ。噴水が川に合流し、川は海に注ぎ込み、波がお互いを抱きしめるんだ。」
―セルジオ・パーティル
「今から40年ほど前の気だるい夏(マドンナとエリック・フィッシュルの時代)、若きセルジオ・パーティルは、大理石と素肌が混在するシーンを求めてヨーロッパを渡り歩いた。噴水や古典的なピアッツァの風景の中を通り過ぎ(時にはカフェに立ち寄りながら)、セルジオは官能的な仕草と複雑な関係性に満ちたフレームを切り取った。今回初めて写真集が世に出たことによって、セルジオがモノクロ写真で捉えたあの太陽の輝きをもう一度見ることができるようになったのだ。」
―マーク・スタインメッツ(Mark Steinmetz)