モントリオールの建築ミュージアム、「CCA（Canadian Centre for Architecture、カナダ建築センターとも）」が発行する年刊誌『The Museum Is Not Enough』創刊号の国内限定版。2019年に「CCA」と「Sternberg Press」が共同で出版したオリジナル版に日本語抄訳が付属。東京を拠点とするアーティスト・コレクティブ、「SKWAT」が主宰する「SKWAT/NOT ENOUGH」プロジェクトの一環として、「twelvebooks」が数量限定で発売する。

「CCA」が同センターの活動報告書を置き換えるかたちで創刊した本誌。近年、ミュージアムの評価指数として頻繁に用いられる来館者数などの業務実績は一切掲載せず、現代の建築と都市、文化施設ならびに研究機関が抱える課題を赤裸々に伝える異色の刊行物である。

創刊号となる本書は、ミュージアムの定義、現代における建築の役割、アイデアの源としてのアーカイブ、展覧会のキュレーション・ストラテジー、アート教育の必要性、文化施設におけるデジタル化の影響など、それぞれ異なるテーマに焦点を当てた九つの章で構成。建築を通して世界を知り、「新たな選択肢」を見つけることを目的に、「CCA」が準拠すべき指針を多面的に提示している。
　
「他に何ができるだろうか」

ブエノスアイレスや東京など、カナダ国外の都市に一時的な研究拠点を置く「CCA c/o」プロジェクトの実施や、ホームレス問題を題材にした短編映画、カウンター・ヒストリーの精神に根差した建築展の制作など、建築ミュージアムとしては型破りな活動を展開し、組織外部に対してもオープンな議論を促してきた「CCA」。それでもなお、一文化施設の視野には収まりきらないほど急速に変化し続ける都市の風景をとらえるべく、同センターはミュージアムという枠組さえもを逸脱し、独自の活動の場を拡張していく。

価値転換の起点としての場の可能性を探り、ジャンルレスな活動を展開する「SKWAT」。「ミュージアムだけでは不十分」という本誌の鮮烈なステートメントへのレスポンスとして、展示・出版プロジェクト「SKWAT/NOT ENOUGH」を2022年4月より展開。新たなカルチャーが生まれる現場としての都市空間と、その中核を成す公共空間の可能性を探っていく。


その骨子となる本書抄訳は、「SKWAT」とプロジェクトパートナーの「twelvebooks」が「CCA」と提携のもとで制作。特別装丁（帯および抄訳差し込み）は、柴田賢蔵が担当した。Studio Jonathan Haresが装丁とグラフィックデザインを手掛けた本書オリジナル版は、「Most Beautiful Swiss Book 2019」を受賞している。

[原版]
出版：Canadian Centre for Architecture (CCA)、Sternberg Press
編集：Giovanna Borasi、Albert Ferré、Francesco Garutti、Jayne Kelley、Mirko Zardini
寄稿：Noura Al Sayeh、Greg Barton、Ruth Estévez、Fredi Fischli and Niels Olsen、Stefano Graziani、Dan Handel、Martin Huberman、Wilfred Kuehn、Kalle Lasn、Maria Lind、Kieran Long、Ligia Nobre、Mike Pepi、Damon Rich、Filippo Romano、Mika Savela、Bernd Scherer、Jack Self、Astria Suparak、Shirley Surya、Jesús Vassallo、James Voorhies、Mark Wigley
装丁・デザイン：Studio Jonathan Hares
出版日：2019年12月31日
言語：英語
240 x 310mm、200ページ、カラー図版、ソフトカバー
ISBN 978-3-95679-517-6

[日本語抄訳]
制作：SKWAT、twelvebooks
制作協力：CCA
流通：twelvebooks
デザイン：Kenzo Shibata
翻訳：Marie Sasago
210 x 297mm、25ページ

本書は、オリジナルの英語版書籍に、抄訳（一部テキストを抜粋して翻訳したもの）のシートが差し込まれているものです。全文日本語ではありませんのでご注意ください。

表紙のスリップの色は6種類ございますが、お選びいただけません。ランダムにセレクトされたものをお届けいたします。