BEWEGUNGEN / MOVEMENTS by Suzanne Perrottet
スイス人ダンサー、振付師のスザンヌ・ペロテ(Suzanne Perrottet)の作品集。作者が長年かけて蒐集した「動作(MOVEMENT)」にまつわるイメージ群で構成されている。作者は、スイス人作曲家、音楽教育家のエミール・ジャック=ダルクローズ (Émile Jaques-Dalcroze)の元で彼が提唱したリトミックを学び、ドレスデン郊外のヘレラウで教鞭を執った。その生徒の一人は、ドイツ人ダンサーのマリー・ヴィグマン(Mary Wigman)であった。1912年にハンガリー人ダンサーであり振付師、理論家のルドルフ・フォン ラバン(Rudolf von Laban)に出会い、アスコナの背後の丘「モンテ・ヴェリタ」のアーティスト・コロニーに移り、その後はスイスへ移りダダ・ソワレでパフォーマンスを行った。1913年の夏は、モンテ・ヴェリタにとって大きな転機となる時期であった。ラバン、ヴィグマンらと共に作者は、音と言葉、自然な動きの流れとジェスチャーが持つ表現のパワーに気がつく。モダンダンスの誕生であった。誰もが皆、自然の動きのスピリットから恩恵を得るために在り、心身を解放することを到達点としているのである。1920年、作者はチューリッヒに学校を設立し、ダンサーや俳優、子供から大人、身体的もしくは精神的機能が不自由な人に教えるだけでなく、自身の研究にも熱を入れ専念した。新たな分野であるこの取り組みにおける文献の不足を補うべく、作者は雑誌から動きやジェスチャー、身体的表現にまつわるイメージを切り抜き、60年の間に1万枚を超える写真素材を集めてカテゴリーごとに分類した。作者は89歳まで活動を続け、この世を去った。しばらくの間、切り抜きの入った箱は忘れ去られていたが、本書によってそのユニークなコレクションは「動作」のヴィジュアルアーカイブとして蘇った。