CONCEPTUAL ART IN BRITAIN 1964-79
英国のコンセプチュアル・アートの歴史を巡る作品集。2016年4月から8月にかけてロンドンの「テート・ブリテン(Tate Britain)」で開催された展覧会に伴い刊行された。1960年半ばから、1979年の総選挙でマーガレット・サッチャー(Margaret Hilda Thatcher)が英国首相に就任するまで、最も活発的かつ革新的だった英国におけるコンセプチュアル・アートの豊かな歴史を探求した1冊。本書は、この時期の初期の作品が、アートの従来の枠組みに挑戦したこと、そして1970年代半ばまでに、芸術や個人的な経験の問題から、政治やアイデンティティの問題へと焦点が移行し、ドキュメンタリー、プロパガンダ、広告の言語を行動(アクション)のために使用されたことについて考察している。
本書では、英国の美術におけるこの革新的な瞬間の発端を紹介し、テリー・アトキンソン(Terry Atkinson)、マイケル・ボールドウィン(Michael Baldwin)、デイヴィッド・ベインブリッジ(David Bainbridge)、ハロルド・ハレル(Harold Hurrell)からなるコンセプチュアル・アートのグループ「アート・アンド・ランゲージ(Art & Language)」やヴィクター・バーギン(Victor Burgin)などによるテキスト作品を探求していく。また、リチャード・ロング(Richard Long)やマイケル・クレイグ・マーティン(Michael Craig Martin)のように、従来のアート・オブジェに問いを投げかけるアーティストたちによる「新しい彫刻」、スティーブン・ウィラッツ(Stephen Willats)やマーガレット・ハリソン(Margaret Harrison)など、社会や政治をテーマにしたアーティストたちについても触れている。最終章では、写真、映画、印刷物が果たした重要な役割について取り上げられており、それらがヨーロッパとアメリカへの普及と国際交流の主要な手段であったことを明らかにしている。エッセイに加え、最も重要な作品に関するテキストや未発表のアーカイブ資料が添えられている。