パフォーマンスとビデオアートの先駆者として知られるアメリカ人アーティスト、ジョーン・ジョナス（Joan Jonas）の作品集。

2024年3月から7月にかけて「ニューヨーク近代美術館（MoMA）」で開催された展覧会に伴い刊行された。本展は、この1970年代を代表するアーティストがアメリカで開催した中で最も包括的な回顧展であり、50年以上におよぶ作者のキャリアを、ビデオアート、ドローイング、ノート、写真、インスタレーションやパフォーマンスなど、主要作品群を様々な媒体で紹介する。

作者は1960年代後半に制作した初期のパフォーマンス以降、アニメーションや動画像に関心を寄せ、イメージを動かすこと、あるいはイメージによって動かされることの意味を問い続けてきた。イメージ、サウンド、ジェスチャー、アイデア、場所など、創作しては拡大し続けるアーカイブに幾度となく常に立ち戻り、数十年にわたって素材を手直しし、新たな形へと再構築してきた。

多くの未発表資料を含む豊富なアーカイヴ資料を収録したこのモノグラフは、ビデオアートとパフォーマンスを融合させた新たな表現の形を創り、進化、洗練させてきた先駆者としての他にない作者の役割に新たな光を当る。作者のあとに何世代にもわたって続く若いアーティストたちのために、マルチメディアが描く不朽の財産に注目する一冊である。