SIGNALS: HOW VIDEO TRANSFORMED THE WORLD
2023年5月から8月にかけて「ニューヨーク近代美術館(MoMA)」で約30年ぶりに映像芸術を主題として開催された大規模な展覧会に伴い刊行された作品集。展覧会では同美術館のコレクション作品を取り上げており、新たなコミュニケーションのネットワークや民主的取り組み、一般の参加を生み出すことを望み、あるいは商業ないし国家による情報、ヴィジョンや真実そのものの支配に対抗したアーティストたちがいかに映像作品の未来を守り、問うてきたかに注目する。美術史・哲学・古典を専門とするイナ・ブロム(Ina Blom)、アーティストであり評論家、キュレーターのアリア・ディーン(Aria Dean)、美術史家のデビッド・ジョセリット(David Joselit)とパメラ・M・リー(Pamela M. Lee)、アーティストのグレン・ライゴン(Glenn Ligon)やコンピュータサイエンスを専門とする研究者ラヴィ・サンダラム(Ravi Sundaram)など錚々たる学者やアーティスト陣のエッセイにより、映像作品の実に多種多様なる形態や文脈、世界への展開力に光を当てる。映像が人生の全ての局面に浸透した現代において、時代を理解するためのマニュアルとなる一冊である。
アートにおける、そしてアートを超えた映像という媒体の政治的意義の概観。映像はいたるところにある。消費型の媒体として成立した1960年代から、映像は我々の世論、政治、そして社会を形作ってきた。携帯電話やパソコンの画面、壁、ストリートでミーム、虚偽、情熱、事実あるいはフィクションを拡散することにより、映像は新たな空間や体験を定義してきた。いうなれば、映像は世界を変えた。
参加アーティスト:アント・ファーム(Ant Farm)、グレッチェン・ベンダー(Gretchen Bender)、ダラ・バーンバウム(Dara Birnbaum)、ブラック・オーディオ・フィルム・コレクティブ(Black Audio Film Collective)、トニー・コークス(Tony Cokes)、ハルーン・ファロッキ&アンドレイ・ウージカ(Harun Farocki and Andrei Ujica)、キット・ギャロウェイ&シェリー・ラビノウィッツ(Kit Galloway and Sherrie Rabinowitz)、ダン・グレアム(Dan Graham)、モナ・ハトゥム(Mona Hatoum)、エヴリー・オーシャン・ヒューズ(Every Ocean Hughes)、出光真子、エミリー・ジャーシル(Emily Jacir)、アマル・カンワル(Amar Kanwar)、ヴィクター・マサエスヴァ・ジュニア(Victor Masayesva Jr.)、マルタ・ミヌヒン(Marta Minujín)、カルロス・モッタ(Carlos Motta)、中谷芙二子、ニュー・レッド・オーダー(New Red Order)、ナム・ジュン・パイク(Nam June Paik)、ソンドラ・ペリー(Sondra Perry)、ハワルデナ・ピンデル(Howardena Pindell)、ワリード・ラード&ソウヘイル・バシャー(Walid Raad and Souheil Bachar)、レインダンス・コーポレーション(Raindance Corporation)、マーロン・リグス(Marlon Riggs)、マーサ・ロスラー(Martha Rosler)、ジュリア・シェア(Julia Scher)、リチャード・セラ&カーロッタ・フェイ・スクールマン(Richard Serra and Carlota Fay Schoolman)、ティファニー・シャ(Tiffany Sia)、フランシス・スターク(Frances Stark)、マルティーヌ・シムズ(Martine Syms)、TVTV、スタン・ヴァンダービーク(Stan VanDerBeek)、ビデオフリークス(Videofreex)、ミン・ウォン(Ming Wong)、ニル・ヤルター&アルトゥル・ジミイェフスキ(Nil Yalter and Artur Zmijewski)
編集:ミシェル・クオ(Michelle Kuo)、スチュアート・カマー(Stuart Comer)
寄稿:エリカ・バルサム(Erika Balsom)、アリア・ディーン、デビッド・ジョセリット、ティファニー・シャ(Tiffany Sia)、ラヴィ・サンダラムによるテキスト、ジャンパオロ・ビアンコニ(Giampaolo Bianconi)、イナ・ブロム、エリカ・ディベネデト(Erica DiBenedetto)、ジェイソン・ダブス(Jason Dubs)、ブランドン・エン(Brandon Eng)、エド・ハルター(Ed Halter)、ニーナ・ホリサキ=クリステンズ(Nina Horisaki-Christens)、マリエル・イングラム(Marielle Ingram)、ダニエル・ジャクソン(Danielle Jackson)、ラタナモル・シン・ジョハル(Rattanamol Singh Johal)、リナ・カヴァリウナス(Lina Kavaliunas)、イネス・カツェンシュタイン(Inés Katzenstein)、パメラ・M・リー、グレン・ライゴン、オルレミ・C・オナバンジョ(Oluremi C. Onabanjo)、エリカ・ペーパーニク=シミズ(Erica Papernik-Shimizu)、フェリシティ・D・スコット(Felicity D. Scott)、リリア・ロシオ・タボアーダ(Lilia Rocio Taboada)、ウォン・ビンハオ(Wong Binghao)、サイモン・ウー(Simon Wu)
年表:ピーター・オレクシク(Peter Oleksik)