アメリカ人アーティスト、トレヴァー・パグレン（Trevor Paglen）の作品集。本書は、歴史家、テクニカル・ライターで機密航空機に関する研究の第一人者であったピーター・マーリン（Peter Merlin）のアーカイブを軸とし、作者による新作の写真作品とテキストを添えた一冊。

「常に何かが残っている」という概念に導かれ、元NASAのアーキビストであったマーリンは、時には政府の秘密工作の唯一の残余物である飛行機の残骸や書類、記念品の膨大なコレクションを構築した。米空軍の極秘軍事区域「エリア51」やおもに航空機の開発・研究・調査を行う「エドワーズ空軍基地」、またその周辺にある実験的な政府航空機の墜落地などの軍事に関連する場所を主な焦点としている。

作者は本書で、マーリンのコレクションから不気味なものや平凡なものから滑稽なものまで、59点もの品をセレクトした。シンボルに富むチャレンジコイン、ワッペンや模型などのオブジェを捉えた整然とした写真は、作者の長きにわたる秘密主義文化に対する興味をさらに更新させると同時に、数十年分のとらえどころのない軍事任務を断片的に垣間見ることができる。本書は、展覧会と書籍として展開されている実験的な地理学、国家機密、軍事シンボロジーを用いた現在進行中のプロジェクトの延長線にある。