RUBBISH, DIPPING SAUCE, GRASS PEONIE BUM by Maisie Cousins
イギリス人フォトグラファー、メイジー・カズンズ(Maisie Cousins)の初写真集。2015年から2019年の間に制作された代表作を集めた一冊であり、最も重要な3つのシリーズからの抜粋であることから、このタイトルがつけられた。序文はヨーロッパ写真美術館(MEP)館長サイモン・ベーカー(Simon Baker)が寄稿。
「彼女の作品世界は脈絡のないもので溢れている。そこに写っているものは、互いに似通ってはいても、その本来の姿とは違うように見える。被写体を描き出す代わりに、全てが鮮やかな色彩のねっとりとした分厚いレイヤーで覆われている。触った感触が伝わってくるような光沢によって、被写体はまるで錬金術のように変身するのだが、どういう訳かもとのままの姿を保っている」– サイモン・ベーカー
全44点の作品は対になっており、2枚の大判写真が見開きに余白なしに印刷されている。艶のある金色のカバーで覆われており、2018年にロンドンのギャラリー「TJ Boulting」で開催された個展『Grass Peonie Bum』のインスタレーションから着想を得ている。この展覧会では、ギャラリーの一室の床を金色で覆いつくしていた。作品はいつも直感や本能のままに作られているが、作者は被写体を至近距離から撮影し、豊かな色彩とテクスチャーが織りなす生々しいイメージとして見せることで、鑑賞者と直接的なつながりを作り出している。作品そのままに、感覚の爆発をフルカラーで描き出した本書もまた、大きく光り輝く美しいオブジェであり、我々の目を存分に楽しませてくれる。
「この5年間をまとめた本を作りたいと思いました。様々なプロジェクトから選んだお気に入りの作品や中間的なものなど、自分のベストアルバム的な1冊にしたかったのです。私の作品には繰り返し登場するテーマや構図がいくつもあります。これを一度形のあるものにしないと、そこから先に進めないような気がしました。イメージがものすごい速さで生み出されている今の時代に、本を作るために時間をかけるのは非常に大事なことだと思います」– メイジー・カズンズ