SAUL LEITER by François Halard [JAPANESE SPECIAL EDITION #9]
何もかも失われた後には何が残るのだろうか?
フランス人フォトグラファー、フランソワ・アラール(François Halard)の作品集。アメリカ人画家、写真家のソール・ライター(Saul Leiter)が享年89歳で死去してから2年後の2015年、作者はイーストヴィレッジにあるライターのアパートメントを訪れ、朽ちた壁や空っぽのクローゼット、わずかに遺された私物などを撮影した。ライターの作品は、55年以上暮らしたイーストヴィレッジと深い関係性があり、抽象的でありながら常にソウルフルなモノクロとカラー写真による作品は、まさに当時のストリートシーンの記録である。2006年に最初の写真集がSteidl社より出版されると「カラー写真のパイオニア」と称されるようになったが、彼自身はこう呼ばれることを好まなかったであろう。ライターは、トーマス・リーチ監督による2012年のドキュメンタリー映画 「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと (原題:In No Great Hurry 13 Lessons in Life with Saul Leiter)」で「何が写るかはわからないし 時間もかかる」と説明している。ライターの魂を捉えたアラールによる作品集「Saul Leiter」は、ページをめくるうちにライター本人がどこかから出てくるのではないかと思うほどの臨場感を伴っている。アラールは、ライターが残した作品をインテリアの一部として撮っているが、そこに写りこんだ身体や人々を除いては、美しいほどに何もない空間が続く。徹底的に人間や身体が排除されていることを特徴とするアラールの作品において、こうしたものが写し出されていることこそが最も意外な要素かもしれない。この作品集は、アラールからライターへのオマージュである。
日本限定での販売となるスペシャルエディションに付属するプリント(アーカイバルピグメントプリント)は、収録作品よりセレクトされた10種類のイメージ (各エディション10部)より選択可。作家によるサインとナンバリング入り。
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※スペシャルエディション(日本限定版)に含まれるプリントは、額装有り/無し のいずれかをお選び頂けます。額装ありをお選びいただいた場合、額装に4週間ほど頂戴いたします。
対談:フランソワ・アラール x 河内タカ - 作家のバイオグラフィーを浮かび上がらせるアトリエの風景
インタビュー:写真家から写真家へ。フランソワ・アラールが写し出すソール・ライターへのラブレター | T JAPAN:The New York Times Style Magazine