オランダ人アーティスト、ボブ・ボニーズ（Bob Bonies）の作品集。作者は、1960年代始めから幾何学的なかたちと赤・青・黄の三原色を中心に、必要な時には緑や白も使って作品を作り続けてきた。色は数学的なシステムに従って決定され、それらを作者が配置することで画面が出来上がる。色とかたち、そしてその間の空間を構成要素として使い、説明の必要がないほど明白な構造を作り出す。またこれらの構造は、周囲の空間と関係性を持っている。60年間も作品を作り続ける中で、作者は色とかたちを説明的な描写や暗示から完全に自由にすることができた。これぞコンクリートアートの真髄であり、目に見えるもが全てである。作者は物事から余計なものを取り除いて本質にまで突き詰めるアプローチを自身の作品集にも適用している。1960年から一貫して全てのカタログ、アートブック、新聞雑誌には自身の絵画の写真を決して掲載せず、代わりにグラフィックの複製を使うことにこだわってきた。このため、作者が60年間に渡って描いた220点の絵画作品を見ることができる本書は非常に貴重な機会となり、本書自体が1つの芸術作品であるといえる。