オランダの「アムステルダム市立美術館（Stedelijk Museum Amsterdam）」のコレクションをまとめた作品集。著名な作品からあまり世に知られていない作品まで、幅広くスポットを当てた130点以上の作品群が掲載されており、さまざまな表現形式が織り交ぜられることで、思いも寄らない個々の関連性が生まれている。

アグス・ジャヤ（Agus Djaya）からヘリット・リートフェルト（Gerrit Rietveld）、マルレーネ・デュマス（Marlene Dumas）、ザネレ・ムホリ（Zanele Muholi）まで、タイトルが指す「A-Z」の通り、作家陣を名前（ファーストネーム）をもとにアルファベット順で紹介している。巻末に掲載されたエッセイでは、1895年の創設以来、美術館の在るべき役割に対する考え方が変化していくにつれ、いかにしてそれが建造物へと反映され、変貌を遂げたのかが記述されている。鮮やかに記録された豊富な図版で構成されたこのコレクション・ガイドは、美術館それ自体と同じように、偶然の出会い、変化、省察、再解釈、ポリフォニーの場として本の形を成している。持ち歩きやすいポケットサイズで作られたこのガイドは、ひとたび開けばいつでも何処でもこれらのアートやデザインを発見できることだろう。