MONADS AND DYADS by Julie Curtiss
ニューヨーク在住のフランス人アーティスト、ジュリー・カートス(Julie Curtiss)の作品集。2021年5月にロンドンで開催された同名の個展に伴い刊行された、作者にとって初めてのモノグラフ。絵画、紙に描いた作品、彫刻など、これまで制作した作品が網羅されている。
作者による視覚的言語は、18世紀から19世紀のフランス絵画、シカゴ・イマジズム、コミックやマンガ、イラストレーションに見られる「ポップ」なイメージなどを含む象徴的表現の歴史に基づいている。豊富な作品イメージと共に収録されているバラエティに富んだイメージの数々は、作品と合わせて考察することによって、その作品を形作る数多くの視覚的情報源に関する新しい洞察と理解をもたらしてくれる。
本書に収録されたエッセイの中で、キングス・カレッジ・ロンドンで映画学科の教鞭を取るエリカ・バルサム(Erika Balsom)は映画の黄金時代の枠組みにおいて作者の作品を考察し、フランスの「ヨーロッパ写真美術館 (Maison Européenne de la Photographie)」で館長を務めるサイモン・ベイカー(Simon Baker)は、この若き現代アーティストの作品におけるシュルレアリズムの役割に焦点を当てている。「White Cube」のミュージアム・リエゾン・ディレクターであるスサンナ・グリーヴス(Susanna Greeves)と作者との対談では、その独自の考え方や作品のインスピレーションを紹介している。作者自身との緊密な協力のもと、ロンドンを拠点とするスイス人デザイナー、マティアス・クロットゥ(Mathias Clottu)がブックデザインを担当。19世紀のフランスの出版物からインスピレーションを得た遊び心のあるデザインに仕上がっている。