南アフリカ共和国を拠点とするアーティスト、活動家であるザネレ・ムホリ（Zanele Muholi）の作品集。2020年にロンドンの「テート・モダン（Tate Modern）」で開催された展覧会に伴い刊行された。作者は2000年代前半に、被害者意識や逸脱を超えた黒人のレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランス、クィア、インターセックスの生活を思い描き写した作品で脚光を浴びるようになった。一貫してヘテロ、家父長制的な観念や表現に挑み、その被写体は、偏見や不寛容、時に暴力に直面しながらも勇気を持って生きる美しく自信に満ちた一個人として描かれている。作者のキャリアは、親密な雰囲気を纏った写真のシリーズから始まり、強烈なセルフポートレイトによって確かなものとなった。

本書には過去20年の間に制作してきたシリーズに加え、未発表作品や最新作、6つのエッセイ、用語集や年表が収録されている。