LEAD WHITE by Zarina Bhimji
ロンドンを拠点に活動するインド人フォトグラファー、ザリナ・ビムジ(Zarina Bhimji)の作品集。本書は、2018年にイギリスの「テート・ブリテン(Tate Britain)」で開催された展覧会に伴い刊行された。作者が10年に渡り複数の大陸において行った調査の集大成であり、国立公文書館に保管された品々や切手、手紙といったエフェメラを精査した。この調査は、「権力と記念碑の遺産」について記録、またそれを問いただすものである。
写真や地図、公印やコットン製の白いリボン、名簿、カラーインクで手書きされた手紙といった品々が、どのように文脈を作り出し、制度的なイデオロギーを引き起こすのか。作者は慎重な調査と写真、キュレーションを駆使し、またデジタルテクノロジーと伝統的な工芸を組み合わせることで、アーカイブ(記録、保管)の概念を探究している。
作者は本作を楽譜になぞらえ、音楽を作曲するかのように言葉とテクスチャーを反復し、音と動きの不協和音を生み出している。言語、ジェスチャー、光と影に着目した作品を通して、権力の文化に対して言及する。
作者自身による示唆に富んだテキストのシリーズ作に加え、イギリス人キュレーター、ライターのアン・ギャラガー(Ann Gallagher)と「ニューヨーク州立大学 オスウェゴ校(State University of New York-Oswego)」英語学科にて准教授を務めるM. ニーリカ・ジャヤワルダネ( M. Neelika Jayawardane)が作者のプロジェクトとその制作方法について貴重な見識を与えるエッセイを寄稿している。本作は、「合法性、権力、美」についての深く詩的な黙想である。
「これまでの作者の作品と同様、このインスタレーションのイメージは、記憶の流動性と物体の永続性のようなものについて言及する、概念的な問いかけを形成している」。
- M. Neelika Jayawardane
「作者は、風景や建築空間、そして細部の抽象的、詩的な性質への強いこだわりによって、この作品の重みを生み出している」。
- Ann Gallagher