A DARK, A LIGHT, A BRIGHT by Dorothy Liebes

アメリカ人テキスタイルデザイナー、ドロシー・リーベス(Dorothy Liebes)の作品集。作者を20世紀のアメリカにおいて最も影響力を持つデザイナーのひとりとして再評価し、光を当てる。本書が作者にとって初めての、詳細な単独出版物となる。2023年7月から2024年2月にかけて「クーパーヒューイット・スミソニアン・デザインミュージアム(Cooper-Hewitt, Smithsonian Design Museum)」で開催された展覧会に伴い刊行された。

1972年に惜しくもこの世を去った時、作者は「現代の最も偉大なる織り工であり、20世紀の色の母」と呼ばれた。織り手として、作者は「Liebes Look」として知られる奇抜な材料やぜいたくな手法、あでやかな色々の独特な組み合わせを生み出した。しかし多作なキャリアを持ち、生前から注目されていたにも関わらず、現在、建築家のフランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)や工業デザイナーのヘンリー・ドレイファス(Henry Dreyfuss)、建築家であるエドワード・ダレル・ストーン(Edward Durell Stone)など、作者とよくコラボレーションを行った男性たちに比べてあきらかに知名度が低い。当時の白黒写真では豊かな色使いと手触りを持つ作品群を表現するには無力であったこともその美しき遺産を苦しめる理由となった。

本書は広範にわたって研究し、フルカラーで精密に描いた図版を入れ、20世紀のデザインにおける作者の広い影響を分析した重要な一冊となった。特製のテキスタイル作品制作のためにすぐれたインテリアデザイナーや建築家とタッグを組んだ緻密なコラボレーションや、新しくも異例な材料を試した革新的かつ実験的なデザイン・スタジオ、インテリアの照明装置を際立たせる織物の使い方、ファッションデザイナーのクレア・ポッター(Clare Potter)やボニー・カシン(Bonnie Cashin)との合作など、作者のキャリアの重大な節目を考察したエッセイ群を収録。本書は、アニ・アルバース(Anni Albers)やフローレンス・ノル(Florence Knoll)などの権威ある人物たちと並び、作者を現代テキスタイル・デザインの最高峰として再度位置付けしている。

「Estudio Herrera」によって美しくデザインされた装丁は、触覚的な体験をもたらしてくれる一冊。布にタイポグラフィをシルクスクリーンで印刷し、写真をはめこんだカバーをめくると、背にはページを綴じる色とりどりの糸が現れ、作者の工芸作品の特色を思わせる作りとなっている。

by Dorothy Liebes

REGULAR PRICE ¥10,450  (tax incl.)

hardcover
256 pages
203 x 254 mm
color, black and white
2023

published by COOPER HEWITT, SMITHSONIAN DESIGN MUSEUM

published by YALE UNIVERSITY PRESS