BIALETTI: A CATALOGUE by David Bergé
1920年代、北イタリア、ピエモンテ州オメーニャの小さな集落クルジナッロで、カミッロ(Camillo)、チェザロ(Cezaro)、アルフォンソ(Alfonso)のビアレッティ兄弟はアルミニウム製の家庭用器具を製造する工房を作った。それが、イタリア創業のコーヒー器具メーカー「ビアレッティ(BIALETTI)」である。アルフォンソの息子であるレナート・ビアレッティ(Renato Bialetti)は、1950年代初頭にこの家族経営のブランドを引き継ぎ、コンロ用コーヒーメーカーの製造を工業化し、世界中でおよそ3億個ものポットを販売した。競合他社を負かすべくクローン製品を生産するなど物議を醸してきたこの起業家は、記録や試作品、アーカイブを残すことには必要性を感じていなかった。
そんな中、作者は、今では使われなくなり廃墟と化した工場の近くや中古市場、そして旗艦店にあった「ビアレッティ」を集め始めた。本書は、作者が提案する「ビアレッティ・カタログ」の一つの形である。実業家一族、工場の元労働者、労働組合の代表者たちの声で育まれた、精密工学の製造プロセスの一片を知ることができる。
「ビアレッティ」は20世紀の象徴であり、今や全てのキッチンに置かれているものでは無くなってしまった。
by David Bergé
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¥5,720
(tax incl.)