ポートレイト写真家として、アフリカ地域で長年続く貧困や環境問題に対するインパクトのあるヴィジュアルを表現することで注目を集める南アフリカ生まれの写真家、ピーター・ヒューゴ（Pieter Hugo）の作品集。

2014年と2015年、作者はサンフランシスコのテンダーロイン地区とロサンゼルスのスキッドロウ地区で被写体と出会った。執拗に降り注ぐカリフォルニアの太陽のハイキーな光が街角で撮影されたポートレイトを特徴づけている。野性的で自由奔放な被写体が持つ伸びやかな身振りや曲線的なフォルムを引き立たせるために、作者は大胆な色彩とキアロスクーロ（明暗法）を視覚言語として用いている。そこにこの「奔放」というテーマを、カラヴァッジョ（Caravaggio）やフランス・ハルス（Frans Hals）といったオランダ黄金時代やバロックの巨匠画家を彷彿とさせるスタイルと組み合わせている。作者がそのような特徴関わり合う中で、被写体に向けられた同種の注意力の強度は明白であると言えるだろう。形、フォルム、色、光を徹底的かつ慎重に扱った結果生まれた写真群は、包括的な永遠性を体現し、特定の瞬間というものを超越する。大概見過ごされがちなものではあるが、作者はカリフォルニアの珍しい土地に咲く野草と、その見つけ難い繁栄の「約束」へと我々の目を向けさせる。何者にもとらわれず統制もされない彼らだけが伝えることのできる真実を、我々はこの本で目撃するのである。

この本の売上は、「ホームレス・ユース・アライアンス（Homeless Youth Alliance）」に寄付される。、「ホームレス・ユース・アライアンス」は、ホームレス状態にある若者たちが、自分自身を守り、互いに教育し合い、コミュニティにおける危害を減らし、路上生活から脱却できる力をもたらすべく積極的に活動する団体である。