CASPIAN: A SOUTHERN REFLECTION by Khashayar Javanmardi

イラン人フォトグラファー、カシャヤール・ジャヴァンマーディ(Khashayar Javanmardi)の作品集。

カスピ海は、南はイラン、北はロシア、西はアゼルバイジャン、東はトルクメニスタンとカザフスタンに囲まれている。カスピ海のほとりで育った作者は、かつて豊かだったこの塩湖が、無秩序な開発、汚染、乱獲、気候変動の犠牲となり、有毒物質が蓄積され、その収穫逓減に依った人々を困窮させているのを目の当たりにしてきた。カスピ海沿岸諸国から毎年約12万2000トンにもおよぶ石油汚染、生活排水、工業排水などの汚染物質が海洋環境を汚染し、生物種を危険にさらしている。

この地域をマッピングするプロジェクトの第一弾として、作者が撮影したカスピ海のイラン沿岸の写真は、環境危機を視覚化し、悪化するにつれて存在が小さくなり、貧しくなっていく地元住民の生活を描いている。産業廃棄物、汚水、商業船からの汚染物質が水生生物に深刻な影響を与え、食糧安全保障を脅かし、大きな経済的損失をもたらしている。近年、70%にもおよぶ漁獲率の激減により、地元の漁師の生活に深刻な影響を与えている。

カスピ海を旅する作者は、この環境と人間のつながり、そして大きなプレッシャーのもとで生き延びようとする自然の尽力を記録している。このドキュメンタリー的アプローチは、叙情的であり同時に緊急性を孕んでおり、海辺の生命をめぐる大気のような崇高さを持つ視覚的な「詩」と、悲惨な環境の現状を目の当たりにする冷厳なドキュメンタリーの間で、大胆かつ自信に満ちたハーモニーを奏でている。気候変動に効果的に取り組むためには、この2つの物語を調和させることが急務であることを本作は訴えている。つまり、政治的、体系的、構造的なものを、日常的な生活体験の経験、主体性、積極的行動に組み込むことである。

by Khashayar Javanmardi

REGULAR PRICE ¥9,900  (tax incl.)

hardcover
96 pages
245 x 285 mm
color
2024

published by LOOSE JOINTS