COLLAGES 2020-2022 by Nico Krijno
南アフリカ人アーティスト、ニコ・クリジノ(Nico Krijno)の作品集。作者の作品を紙面上に収めるには、「本」は一見特殊な方法にも思える。本はその形式上、終わりがある。つまり始まりと終わりで区切られた物語に身を委ねる整った器なのだ。一方作者の制作には終わりがない。解像度はなく、安易に指摘、括り、ラベル付けできるような一瞬がない。小刻みな一定のリズムに揺られることもなく、常に刻々と蓄積していくのである。どちらかといえば、これまでと同じように、作品は無邪気で子供のような遊びの放出に近いように感じられる。方向感覚を失うように幻想的で、時にはほとんどデタラメにも感じられるが、それでも人を魅了する。しかし、この流れこそが、作者の作品と本を対立させる。
しかし、それらの作品の最新作であり、最も充実した内容となっている本書を通し、本という形式が必要な試みであると感じられる。このように、束ねられながらも凝縮された形で見るとき、私たちは間違いなく作者をより理解することができるようだ。本書で我々は、パフォーマンスとプロセスの重要性を理解し、作者の作品がいかに細かいパーツの集合体以上のものであるかを理解し、作者がいかに一方に身を流して新しい形やアイデアを紐解きながら、結局は馴染みある道でありつつも最初とは違う道筋に戻っていくかを理解することができる。そして、作品が奔放な遊びと類似しているにもかかわらず、子供の無邪気な遊びにはないあらゆる可能性を追求する執念と熱意のような、より鋭利で、より意図的な表現であることを理解することができるのだ。展覧会やオンラインで作品を見ると、一方は断片的で、もう一方は無限に続くため、作品の特徴や意図はより隠され、具体性が薄まる。そういった意味で、本書はは2つの側面においてその必要性を発揮していると言える。ひとつは、作者をより理解するために。そしてもうひとつは、どうしようもなくはかないものを手離さないために。