CONTEXTS - SEMPER OPER DRESDEN by Candida Höfer
ドイツ人フォトグラファー、カンディダ・ヘーファー(Candida Höfer)の作品集。本書は2024年3月から7月にかけて「ドレスデン国立美術館(Staatliche Kunstsammlungen Dresden)」にて、オペラハウス「ドレスデン国立歌劇場ゼンパーオーパー(Semperoper Dresden at Kupferstich-Kabinett Dresden)」の協力のもと開催されている展覧会に伴い刊行された。
「イメージは、新たな文脈で異なるイメージとなる」- カンディダ・ヘーファー
本書が記録しているのは、作者の芸術的実践と、その実践が成される中における文脈の探究である。2023年、作者はドレスデンのオペラハウス「ゼンパーオーパー」で撮影を行なった。オペラハウス内におけるリハーサル、倉庫、インフラ、労働、パフォーマンス、探索、観客がいる空間を記録した写真は、研究や収集、アーカイブ化、展示、作業の場としての「ドレスデン銅版彫刻キャビネット(Kupferstich-Kabinett)」における「ドレスデン国立美術館」の文脈を反映し、歴史的なコレクションを見るレンズとなった。撮影した写真はそれぞれ、作者の写真を用いた芸術活動の具体的な文脈を想像させる。
16世紀半ばから1839年に写真が発明されるまでの時代に焦点を当て、「ドレスデン銅版彫刻キャビネット」に収蔵されている、画家のアルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer)、アーティストのダニエル・ホッファー(Daniel Hopfer)、画家であり建築家のジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ(Giovanni Battista Piranesi)らの木版画、エッチング、銅版画と対話するように、作者の作品も展示されている。そこに共通するのは、文化的儀式の場として在る空間について考察を促す「イメージの力」であり、空間における写真表現と、歴史的な絵画を結びつけている。