CONTEXTURES by Linda Goode Bryant, Marcy S. Philips
アメリカ人ギャラリストであり映像作家、農場経営者、起業家であるリンダ・グッド・ブライアント(Linda Goode Bryant)と作家であるマーシー・S・フィリップス(Marcy S. Philips)の作品集。
本書は、元々ニューヨークのギャラリー、「ジャスト・アバヴ・ミッドタウン(Just Above Midtown(JAM)」から1978年に出版されたものである。リンダ・グッド・ブライアントは同ギャラリーの創設者であり、場を「実験のための実験室」と自称、アフリカ系アメリカ人や有色人種のアーティストに焦点を当てていた。本新版はオリジナル作のファクシミリ(複製)版であり、アメリカの出版社「PRIMARY INFORMATION」と「PACIFIC」との共同刊行である。1945年から1978年までの間に抽象画を制作してきた黒人アーティストの歴史を幅広く紹介し、1970年代に新たに勃興した「ブラック・コンセプチュアル・アート」のムーブメントを明確に紹介する。
25名のアーティストの作品を、58点のモノクロ写真と16点のカラー写真で収録。両著者による、アーティスト陣へのインタビューに基づいて著された文章も掲載されている。2022年に「ニューヨーク近代美術館(MoMA)」開催された「ジャスト・アバブ・ミッドタウン:変化が生まれる場所(Just Above Midtown: Changing Spaces)」のキュレーターを務めたトーマス・ジーン・ラックス(Thomas (T.) Jean Lax)が本新版に向けて書き下ろしたあとがきも収録する。
作者らは当初、『The Afro-American Artists in the Abstract Continuum of American Art: 1945–1977』に付随する本として本書を構想した。伝統的なカタログというよりも教科書のような機能を持つ本書は、それでも二者のキュレーション的ビジョンにおける重要な使命を形にし、戦後の抽象芸術における白人支配のカノンの中に黒人アーティストを位置づけた。その歴史的重要性と先見的な学識にもかかわらず、本書は当時、わずか数百部のみの限定発行であったため、いまだ希少価値が高く、ほとんど知られていなかった。
参加アーティスト:リナ・バネルジー(Rina Banerjee)、フランク・ボウリング(Frank Bowling)、ドンナ・バイアーズ(Donna Byars)、エド・クラーク(Ed Clark)、ヒューストン・コンウィル(Houston Conwill)、ジョン・ドゥウェル(John Dowell)、メル・エドワーズ(Mel Edwards)、ウェンディー・ワード・エーレルス(Wendy Ward Ehlers)、フレッド・エヴァースリー(Fred Eversley)、スーザン・フィッツシモンズ(Susan Fitzsimmons)、サム・ギリアム(Sam Gilliam)、ジニ・ハミルトン(Gini Hamilton)、デイヴィッド・ハモンズ(David Hammons)、マヌエル・ヒューズ(Manuel Hughes)、スザンヌ・ジャクソン(Suzanne Jackson)、ノア・ジェミソン(Noah Jemison)、ジェームス・リトル(James Little)、アル・ラヴィング(Al Loving)、センガ・ネングディ(Senga Nengudi)、ホワルデナ・ピンデル(Howardena Pindell)、ベッティ・サー(Betye Saar)、レイモンド・サンダース(Raymond Saunders)、シャロン・サットン(Sharon Sutton)、ランディ・ウィリアムズ(Randy Williams)、ウィリアム・T・ウィリアムズ(William T. Williams)