DIE KASSETTENKATALOGE DES STÄDTISCHEN MUSEUMS MÖNCHENGLADBACH
ドイツ、メンヒェングラートバッハ(Mönchengladbach)のアプタイベルク美術館で制作された35冊のボックスカタログをまとめた作品集。1967年から同美術館のディレクターを務めたヨハネス・クラダース(Johannes Cladders)が、就任した年にドイツ人アーティストのヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)と共にボックス型のカタログを考案。その後、1978年まで同美術館で展示をするアーティスト陣と綿密に企画し、都度制作し続け、従来の展覧会図録や美術館による刊行物のフォーマットを根本的に変えることになった。当時の「参加型アプローチ」を体現し、民主的な作品のビジョンを示す象徴となり、このカタログを手にする者もまたこの芸術的かつ制度的な試みに対して知的・身体的に関わることができる。数々の芸術家が生んだ作品を非常に美しい形で具現化した本書は、1960年代、1970年代の芸術の世界へ我々を導くと共に、添えられた書誌情報等や書影は、資料としても優れた役割を果たす。当時の参加アーティストはヨーゼフ・ボイスのほか、ジャスパー・ジョーンズ(Jasper Johns)、ジョージ・ ブレヒト(George Brecht)、カール・アンドレ(Carl Andre)、ベルント&ヒラ・ベッヒャー(Bernd and Hilla Becher)、マルセル・ブロータス(Marcel Broodthaers)、パナマレンコ(Panamarenko)、ジェームス・リー・バイヤース(James Lee Byars)、ゲルハルト・リヒター(Gerhard Richter)など錚々たる顔ぶれが並ぶ。著者である美術史家のスザンヌ・レナート(Susanne Rennert)と美術館の現ディレクターであるズザンネ・ティッツ(Susanne Titz)がテキストを寄稿。