DIETER RAMS: AS LITTLE DESIGN AS POSSIBLE by Dieter Rams
ドイツ人インダストリアルデザイナー、ディーター・ラムス(Dieter Rams)の作品集。20世紀を代表するプロダクトデザイナーである作者に関するモノグラフの決定版と言える一冊。1961年から1995年まで「ブラウン(Braun)」社でデザインチームの責任者を務め、20世紀を代表する数々の作品を生み出した。その人生と作品は、人々がどう生きるか、どうすればよりよく生きることができるかという作者の考えと深く結びついている。
1960年代に作者がデザインした製品は現在も生産・販売されており、優れたデザインに関するその考えは、デザイナーや消費者にインスピレーションを与え続けている。2011年に刊行された初版から表紙を一新した本書は、「アップル(Apple)」の元CDO(最高デザイン責任者)であるジョナサン(ジョニー)・アイブ(Jony Ive)が序文を寄せ、作者の人生と作品だけでなく、デザイン哲学も探る。
その生涯や、活躍の裏にある知的背景、「ブラウン」や「ヴィツゥ(Vitsœ)」でのデザイン、優れたデザインに対する提唱者として展開した思想や講義などが詳細に記録されている。完成品やプロトタイプのスケッチや写真は、作者の制作プロセスに対する洞察を我々に与え、多様なアーカイブ資料はその人生と仕事の全体像を描き出す。また、特別に依頼し実現した自邸と「ブラウン」のアーカイブ資料の写真は、作者が描いてきたデザインの世界の最も完全なるコレクションを垣間見る経験となるだろう。
「ブラウン」や「ヴィツゥ」でデザインした何百もの象徴的な製品によって作者は知られているが、この包括的でありあらゆる作品を網羅した本書では、作者が手がけた唯一の建築作品や、自身が掲げた「グッド・デザインの10原則(TEN PRINCIPLES FOR GOOD DESIGN)」によって具現化されたサステナブルな生活についての考え方も紹介されている。