ECHOES by Yukinori Maeda
日本人作家、前田征紀の作品集。2011年にタカ・イシイギャラリーで開催された展覧会「ECHOES」に伴い刊行された。本作は、自身によるコンセプトテキスト、精神史家の西川隆範によるエッセイ、シモン・カステ(Simon Castets)によるインタビューテキストを掲載。これまでの作家活動を振り返る作品群と共に、ヨコハマトリエンナーレ(2011年)に出展した作品、個展「ECHOES」(2011年)の新作を掲載。
以下プレスリリースより抜粋
「ECHOES」と題した大型インスタレーションのアーキテクチャー・プロジェクトを発表いたします。
根源的な光が放たれ
あらゆる霊的存在がその光を反射する
光が反射を繰り返しわたしたちに光が届くとき
東西南北に光は刻印される
-前田征紀
前田は、これまでにシャーマニズムやアニミズムといった原始的な表象形態や神秘思想を独自のファクターを使って作品化するにあたり、自身の経験した出来事と日常のイメージを通して構築することを主題として、立体作品、照明、光の波長にリンクする音響装置などを繊細に組み合わせたインスタレーションを発表してきました。これらの作品は鑑賞者が「光」と出会い、「光」が蓄積される神的な空間を現出させる試みと言えます。ヨコハマトリエンナーレ2011「Our Magic Hour‐世界はどこまで知ることができるか?」で発表した新作「THE SEVEN SEASONS」では、シュタイナー思想として知られるアントロポゾフィー(人智学)に基づき、人間の進化がたどる7つのプロセスを7つの惑星に対応させた、シンボリックな装置を製作いたしました。2003年の「study」(タカ・イシイギャラリー、東京・清澄)への参加を皮切りに、「Magic village COSMIC WONDER Yukinori Maeda」(2005年、MU Art Foundation、アイントホーフェン)、「Space for Your Future」(2007年、東京都現代美術館)、「Mellow Fever」(2008年、galerie des galerie、パリ)、などの国際的なグループ展に参加。2010年には「MOTコレクションPlastic Memories-今を照らす方法」(東京都現代美術館)にて光の空間、写真作品、サウンドを組み合わせた光のインスタレーションを発表するなど、国内外で高い評価を得ながら、着実に活動の場を広げています。本展で前田が制作する世界、それはまさしく「ECHOES」(反射・反響)であり、立体、映像、写真のアスペクトによって構成された新たなインスタレーションを通して、人々を包み込むその根源的な光のプロセスの表現を試みています。前田征紀の最新作を是非この機会にご高覧ください。