ELINA BIRKEHAG: D FOR DAUGHTER by Elina Birkehag
ストックホルムを拠点に活動するスウェーデン人アーティスト、エリナ・ビルケハグ(Elina Birkehag)の作品集。本作は、作者の母国であるスウェーデンの自然の風景に根ざしており、樹齢数百年のスコッチパイン(ヨーロッパアカマツ)の幹に刻まれたメッセージという、ほとんど研究されてきていない文字体系について物語っている。
スウェーデン中部の田舎、ダーラナ地方の森の奥深く、切り株や新緑の木々の合間に散在して立つ、樹齢数百年のスコッチパイン。その木々は、太く、節くれ立ち、「彫刻」で覆われている。木の幹に刻まれたメッセージは、17世紀から20世紀初頭まで、村を離れて移牧小屋(夏季移牧)で共に暮らし、働き、家族の牛を放牧に導いた女羊飼いからのものだ。牧草地にいる間、若い女性たち(その多くは10代)は、日付、イニシャル、そして互いへのメモを刻み、十代の熱狂のような、暗号化された言語、「ここに我々の名を刻む」と、自分たちの存在の主張が書き込まれた木の幹を残していった。作者はカメラを持って森に入り、木々を探し、彼女たちが樹皮に残した痕跡を写真に収めた。本書は、我々と女羊飼いを結びつけ、木々を「読む」ことを可能にする。
作者によるテキストが掲載されているほか、ライターのアメリア・グルーム&M・タイ(Amelia Groom & M. Ty)、詩人、批評家のクイン・ラティマー(Quinn Latimer)、ライター、編集者のメグ・ミラー(Meg Miller)、グラフィックデザイナーのイ・ジョンミョン(Jungmyung Lee)、アーティストのマチルダ・ケントタ&リンネア・ルッツ(Matilda Kenttä & Linnea Rutz)、民族音楽学者のジェニー・タイダーマン・エスターバーグ(Jennie Tiderman Österberg)による寄稿も収録している。