ENSEMBLE by Julie Mehretu

エチオピア生まれのアメリカ人アーティスト、ジュリー・メレツ（Julie Mehretu）の作品集。2024年3月から2025年1月にかけてパリの現代美術館「ピノーコレクション（Pinault Collection）」で開催された展覧会に伴い刊行された。過去25年間にわたって制作された絵画作品、ドローイング作品、プリント作品など60点に焦点を当てており、そのうち数点は直近の2年間で描かれたものである。

作者が手がける官能的で感情的な作品構成は、すでに書かれた文字を消して別の内容を上書きした写本「パリンプセスト」的な要素や、独創性に富むマークで満ちており、緻密かつ多層的で複雑な文脈から生まれている。それは美術史的、社会政治的、地理的、現代的そして個人的なルーツである。また作者は自身の活動において、常に様々な形でのコラボレーションや、アーティスト仲間との持続的な対話に取り組んできた。

本書は作者の作品を、アーティストのナイリー・バグラミアン（Nairy Baghramian）、フーマ・ババ（Huma Bhabha）、タシタ・ディーン（Tacita Dean）、デイヴィッド・ハモンズ（David Hammons）、ポール・ファイファー（Paul Pfeiffer）、ジェシカ・ランキン（Jessica Rankin）、詩人のロビン・コステ・ルイス（Robin Coste Lewis）らアーティスト陣、作家陣の作品と共鳴するように紹介する。