GALLERY MAGAZINE N°1 by Jan De Vylder, Inge Vinck
ベルギーを拠点として活動する建築家、ジョナサン・ロバート・マイ(Jonathan Robert Maj)とヨハネス・ストロメンガー・ベリー(Johannes Ströhmenger Berry)がキュレーションを務める『GALLERY MAGAZINE』。本誌は、毎号1人の建築家または1つの建築事務所をゲストに招き、オリジナルコンテンツの制作を通じて1つのビジョンを描き出す。第一号のゲストとなったベルギー人建築家のヤン・デ・ヴィルダー(Jan De Vylder)とインゲ・ヴィンク (B)(Inge Vinck (B))は、エクセルの限界に挑戦するドローイングシリーズを制作した。「UNIVERSUM CARROUSSEL JOURNEY」はヤン・デ・ヴィルダーとインゲ・ヴィンクが参画する「architects jan de vylder inge vinck / inge vinck jan de vylder architects」のオルターエゴ(別人格)として誕生したが、もしかするとこちらが本当の人格なのかもしれない。順に並んだ三つの単語はそれ以上でもそれ以下でもないが、建築の概念を説明するとなれば「A JDVIV / IVJDV A」の本質を的確に表すのにこれ以上の言葉は必要ない。「UNIVERSUM」は建築がなることができるもの、「CARROUSEL」は建築がなりえるムーブメント、「JOURNEY」はこれからの建築がなっていく旅を象徴している。単語の順番は変えられる。UNIVERSUM CARROUSEL JOURNEY / CARROUSEL JOURNEY UNIVERSUM / JOURNEY UNIVERSUM CARROUSELでも、UCJ CJU JUCでもいい。この並び方さえメリーゴーランド(CARROUSEL)のようであるし、旅(JOURNEY)にも世界(UNIVERSUM)にも似ている。しかし同時に、順番によって意味は変ってくる。UNIVERSUM CARROUSEL JOURNEY - A STUDIOは教育を、CARROUSEL JOURNEY UNIVERSUM - A PRACTICEは建築の仕事を意味している。そしてJOURNEY UNIVERSUM CARROUSEL – WHATEVERは、この2つの辺縁にあるありとあらゆることを包含している。本書は「JOURNEY CARROUSEL UNIVERSUM - WHAT EVER」という作品の一部であり、「なんでもあり」という考え方の最初の「現象」の一つである。この本でインゲ・ヴィンクとヤン・デ・ヴィルダーは「architects jan de vylder inge vinck / inge vinck jan de vylder architects」に言及せず、自分たちの名前を冠している。「なんでもあり」の中で選択の自由が行使され、個人的な物の見方に存在価値が与えられることになる。しかし多分この二つはどちらもお互い無くしては成り立たないのだろう。