ドイツの建築事務所「ゴンザレスハース（Gonzalez Haase AAS）」の作品集。同事務所は、ピエール・ヨルゲ・ゴンザレス（Pierre Jorge Gonzalez）とユーディト・ハース（Judith Haase）が1999年に設立、そのユニークなスタイルで瞬く間に世界中で名を馳せ、その地位を確立した。

本書は創設した1999年から2021年までの22年の間に手がけられた484点のプロジェクトをまとめた一冊。

22年分の記録と484点ものプロジェクトを一冊の本にまとめるということは、途方もない作業であろう。それも、デザインの分野における象徴的な二者が手がけた、大きな影響力を持つ作品を含むとなれば、なおさらのことである。「AAS」という自身らの事務所と共に、ピエール・ヨルゲ・ゴンザレスとユーディト・ハースは瞬く間にデザイン史を築いていった。二人の純粋主義かつオフビートなスタイルは、大規模なアート・インスタレーションから、小売店、豪奢な個人住宅まで、世界中の設計物にその足跡を残している。その主眼は特に、空間と光を巧みに組み合わせた演出に置かれている。そのスタイルの特殊さはまた、壮麗な図版を収めた本書にも表れている。ソーシャルメディアの美学にのっとった本書は、魅力的な印刷や心を躍らせるようなイメージ群を一連の実験として構成している。自身のスタイルに忠実に、新しいものには常に豪胆に、本書は「AAS」らしいプロジェクトを紹介する上で、「AAS」らしいプロジェクトそのものを体現している。