HOW HIGH THE MOON by Stanley Whitney

アメリカ人アーティスト、スタンレイ・ホイットニー（Stanley Whitney）の作品集。2024年2月から5月にかけてニューヨーク州の「バッファローAKG美術館（Buffalo AKG Art Museum）」で開催された展覧会に伴い刊行された。作者は50年にわたり、大胆で実験的なカラーパレットと独自のリズムを持つ、喜びに満ちた没入型の抽象絵画を制作してきた。過去20年間、作者は自身の絵画作品をゆるやかなグリッドで構築し、これにより、無限の広がりを持つような絵画的変化の追求を実現し、鑑賞者はそれぞれの絵画の主題ではなく、色に対する反応に焦点を当てることができている。美術館での展開において、これらの大規模な絵画作品は、即興的に制作された小さな絵画やドローイング、版画と共に展覧され、作者による独自の実践が会場で構成されている。また、文字や政治との関わりを示すスケッチブックも飾られていた。

北米の美術館を巡回する本展は、作者にとって初の美術館における巡回回顧展となり、1970年代から現在までの170点の絵画と紙に描かれた作品が展示された。本書には、展覧会主催者であり、「バッファローAKG美術館」のチーフ・キュレーターを務める、キャスリーン・チャフィー（Cathleen Chaffee）による序文が収録されているほか、作者の絵画と紙作品の学術的な解説、年表、展覧会全作品の図版が掲載されている。

タイトルは、ナンシー・ハミルトン（Nancy Hamilton）とモーガン・ルイス（Morgan Lewis）が1940年にミュージカル『Two for the Show』のために書いた曲のタイトルから引用している。