HOW WAS YOUR DREAM? by Thaddé Comar

フランス人写真家、サッデ・コマール(Thaddé Comar)の作品集。途切れのない統制社会に支配されているポスト・コンテポラリー時代における新しい形のデモや反乱を描く一冊。

2014年に香港で勃発した「雨傘運動(umbrella movement)」は、国と警察の暴力によって瞬く間に制圧された。2019年、5月に立ち上がった民主化運動(香港民主化デモ)は、継続するための手段を自ら手に入れた。顔認識、ジオロケーション、不当な職務質問、盗聴、潜入、放水銃、催涙ガス、ヘリコプター、音響兵器、非殺傷ライフルなどの精巧に作られた支配を目的とする武器に対抗すべく、香港のデモ参加者は匿名性、顔認識を妨害するレーザー、送受信無線信号を遮断するファラデー・ポケット、ドローンを使った視野の拡大、あらゆる種類のマスク、暗号化通信をはじめとした、自身の透明化と追跡不能化を原則とした幅広いレパートリーの技術を開発し、弾圧による被害を軽減することに成功した。

このような新しいデバイスは、闘争とレジスタンスの形の変化に貢献するが、個人の単一性を徐々に剥いでいく。将来、社会と精密な管理システムは人間の個性を強制的に抹消してしまうのだろうか。それは新しい共通のアイデンティティという名目の元に行われるのだろうか。

小説家で哲学者のアラン・ダマシオ(Alain Damasio)が著作『La zone du dehors』で想起させる通りなのだ。

物事の終わりが手段を正当化する。しかし誰が終わりを正当だと証明できるのだろうか。

by Thaddé Comar

REGULAR PRICE ¥8,250  (tax incl.)

softcover
168 pages
205 x 290 mm    
color
limited edition of 1,000 copies
2022

shortlist of the Paris Photo–Aperture Foundation PhotoBook Awards 2023 - the First Photobook of the Year Prize

published by MÖREL