IGLOOS by Mario Merz

イタリア人アーティスト、マリオ・メルツ(Mario Merz)の作品集。2018年10月から2019年2月にミラノの美術館「ピレリ・ハンガービコッカ(Pirelli HangarBicocca)」でキュレーターのヴィセンテ・トドリ(Vicente Todolí)とメルツ財団(Fondazione Merz)とのコラボレーションにより開催された展覧会に伴い刊行された。作者は、1960年代後半から70年代前半にかけてイタリアで展開した芸術運動「アルテ・ポーヴェラ(Arte Povera / 貧しい芸術)」を代表する作家の一人である。本書は、作者の重要作であるイグルー(イヌイットが暮らす半円球の氷の家)の作品に至る様々な軌跡を紹介している。

キュレーターであり、アルテ・ポーヴェラを命名した美術批評家のジェルマーノ・チェラント(Germano Celant)やキュレーター、ライターのリサ・ルファーヴ(Lisa Le Feuvre)、キュレーターのピエトロ・リゴロ(Pietro Rigolo)、メルツの元アシスタント、マリアノ・ボッジャ(Mariano Boggia)らのエッセイが未発表の資料とともに掲載されている。中には、1974年、スイス人キュレーターのハラルド・ゼーマン(Harald Szeemann)によって行われたインタビュー、また1985年に開催された展覧会「Igloos」を再現した記録写真も収録。

イグルーの発想はある日、展覧会について話し合いをしているときに思いつきました。〈妻〉のマリサ、〈アルテ・ポーヴェラのメンバーである〉ピストレット、ボエッティ、そしてトリノから来た人たちがそこにいました。僕は『土を積んで支える半球を作りたい』と言いました。当時、ベトナムの情勢は悲惨で、ヴォー・グエン・ザップ将軍が言ったこの言葉をある本で読んで衝撃を受けました:『敵が軍人を集めると敗れる。散らばれば勢力を失う。』これは物事の仕組みを垣間見ることができる、並外れた洞察力のある言葉です。悲観的であり、敵へ向けられているものであります。しかし、私は個人にも向けられているのだと解釈しました。とてつもないことですよね。なぜなら、両極のバランスが無く、自滅するほど静的なのですから。」― マリオ・メルツ(Mario Merz)

by Mario Merz

REGULAR PRICE ¥8,800  (tax incl.)

hardcover
234 pages
250 x 300 mm
color
2020

published by MOUSSE PUBLISHING