IN DEFENSE OF NATURE by Joseph Beuys
ドイツ人アーティスト、ヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)の作品集。2024年11月から2025年3月にかけて現代美術館「ザ・ブロード(The Broad)」で開催されている展覧会に伴い刊行された。環境問題と結びつけて制作した作品と、それに触発され続ける社会の変革に対する新たな視点を我々にもたらす一作。
「ザ・ブロード」が多数所蔵する作者のマルチプル・コレクションを基にした「Joseph Beuys: In Defense of Nature(ヨーゼフ・ボイス:自然を守るために)」は、環境に対して作者がいかに介入しているかに中心を据えている。このプロジェクトは、直接民主主義などのオルタナティブ組織の設立から、「緑の党」への参加まで、活動家としての長い歴史をたどるものである。これらの活動は、作者のプロジェクト「7000本の樫の木(7000 Oaks)」に結実した。この企画は1982年の「ドクメンタ7(documenta 7)」で始められ、1987年の「ドクメンタ8(documenta 8)」まで続けられた、ドイツのカッセル市内に無機物であり死を象徴する玄武石を敷き、その横に生を示す樫の木を植えるというものであり、作者にとって最後の大規模プロジェクトであった。このコンセプトは、「ザ・ブロード」初の常設オフサイト展示プロジェクト「Social Forest: Oaks of Tovaangar(ソーシャル・フォレスト:トヴァンガルのオーク)」にインスピレーションを与えた。これは、「Getty」のイニシアティブ「PST ART」の一環として発足したロサンゼルスの森林再生プロジェクトである。環境正義、和解、再興という重なり合う問題を取り上げた作者のプログラムにより、「ソーシャル・フォレスト」は「7000本の樫の木」が与え続けた影響を浮き彫りにし、40年後、同じように修復が求められる大きく異なる風景の中においても、作者が遺したものに新たな意味をもたらしている。