JESTURE by Jadé Fadojutimi

イギリス人アーティスト、ジャデ・ファドジュティミ(Jadé Fadojutimi)の作品集。2020年秋に「Pippy Houldsworth Gallery」で開催された自身2度目の個展に伴い刊行。本書タイトル「Jesture」という単語には、そこはかとない不条理さが付き纏う。またこの感覚は、COVID-19 によるロックダウン下の強制的な自己隔離生活による日常リズムの乱れにも通じるものがある。作者は、芸術を通じてアイデンティティとその流動的な性質について繰り返し問い質し、快楽、欲望、選択の概念の理解が自意識にとっていかに重要かを表現している。映画、アニメ、ゲームのサウンドトラックを聴くと強烈な記憶が蘇り、初めてそれらを体験したその瞬間に引き戻されると作者はいう。これに対する反応として、作者は鮮やかな色彩をキャンバスに展開する。作者が自分を理解する際に役立ってきたこの様々な影響は統合され、エネルギーと感情が爆発しているような大判のアクションペインティングに姿を変える。こうしてできた複雑な構図を作者は「環境」と呼ぶ。それは完全に抽象的でも象徴的でもない。重なり合う油彩の層の上から作者は最近使い始めたオイルパステルで線を描く。新しい画材を取り入れたことで配色や構図と奥行をより柔軟にコントロールし、ドローイングの即興性をキャンバスに活かせるようになったという。本書に収められたエッセイ『From Life - Thoughts on the paintings of Jadé Fadojutimi』において、現代アート誌『Frieze』のライター/編集長のジェニファー・ヒギー(Jennifer Higgie)は次のように評する。

この絵画の中には、混沌として壮麗な世界が暗示として存在する。『芸術とは何か』の説明ではなく、迸るエネルギー、きらめく色、ゆらめく光、反応、そして誰かが続きを言ってくれることを期待して放たれた言葉である。人と同じく人間が描く絵も、瞬きするほどの短い時間のうちに雰囲気をがらりと変えることができる

本作は、ロンドンを拠点とする「A Practice for Everyday Life」がデザインを手掛け、「Pippy Houldsworth Gallery」と「Anomie Publishing」による共同出版という形で刊行された、作者にとって初めての作品集である。

EXHIBITION:

Jadé Fadojutimi “This land escapes me and continues to grow”
会期:2022年12月23日(金) - 2023年1月28日(土) 日曜・月曜定休
時間:12:00-19:00
開催場所:SKWAT/twelvebooks
詳細
※本展は終了いたしました

by Jadé Fadojutimi

REGULAR PRICE ¥4,400  (tax incl.)

hardcover
76 pages
280 x 240 mm
color
2021

published by ANOMIE PUBLISHING

published by PIPPY HOULDSWORTH GALLERY