JIM LAMBIE by Jim Lambie

ターナー賞ノミネート作家であるスコットランド出身アーティスト、ジム・ランビー(Jim  Lambie)の作品集。
 
本書は、グラスゴーを拠点に現代彫刻家として活動する作者の初めてのモノグラフである。代表作である、部屋の壁の端から端まで鮮やかな絶縁テープを使って床面を覆いストライプを施した作品から、ペンキまみれのマットレスまで、作者は現代の日常生活における雑然としたものを、ユーモアと哀愁が内在する彫刻作品へと巧みに昇華させる。レコードプレーヤー、スピーカー、服、アクセサリー、ドア、鏡など、身近なアイテムやリサイクルショップ、ホームセンターで手に入れた品を用い、そこにふたたび命を与え、大規模な構成における彫刻的要素として組み込む。
 
知的な反応よりも感覚的な喜びを優先する作者は、馴染み深く自身と強く共鳴する素材を選ぶことで、作品への門戸を開くと同時により深い心理的空間への踏み台を作り出す。本書は、キャリア中期における決定版的概観書でありながら、作者の作品の再定義をする役割も果たすであろう。タイトルによく登場するように、これまでの制作はパンクやロックの視点をもとに解釈されてきた。しかしこの一冊の中で、作者自身が掘り起こす豊かな素材の歴史や、故郷グラスゴーのスクラップ的で機知に富んだ精神にまで、書き下ろしのエッセイ群によってそのアプローチがいかなるものであったか遡っているのである。

by Jim Lambie

REGULAR PRICE ¥17,600  (tax incl.)

hardcover
256 pages
242 x 311 mm    
color, black and white
2017

published by RIZZOLI