KING, QUEEN, KNAVE by Gregory Halpern

国際的写真家集団「マグナム・フォト」正会員であり、2014年にグッゲンハイム奨励金を受けた経歴をもつアメリカ人フォトグラファー、グレゴリー・ハルパーン(Gregory Halpern)の作品集。作者は20年以上にわたり、自身の故郷であるニューヨーク州の都市であるバッファローとその周辺で写真を撮り続け、新作シリーズの輪郭を丁寧に作り続けていた。本作は、産業革命後の衰退というよく知られた物語に背き、シュルレアリズムと言及しうる現実における不可解な歪みを含んだ、矛盾の渦の中にある都市の独特なヴィジョンである。作者が描く美しいシークエンスは、日常からはるかに乖離した太陽にさらされた風景、孤独な建物、雪の吹きだまりの中に、唯一無二で予測不可能なキャラクターが登場する舞台のように展開している。

イメージは時にその季節の特異性の中に被写体が在り、個々の輝きの中の一瞬の即時性と、この歴史的なプロジェクトとのバランスを取っている。作者は反転と上昇をテーマに掲げながら、自身の生まれ故郷と現代アメリカ全土の複雑さに立ち向かい、美と醜悪、救済と絶望が絡み合う様子を目の当たりにする。

この抒情的な作品は、かつて慣れ親しんだ場所で在りながら未知の地でもあるという、その果てなき複雑性の証でもあるのだ。

by Gregory Halpern

REGULAR PRICE ¥13,200  (tax incl.)

hardcover
112 pages
240 x 290 mm
color
2024

published by MACK