LAYERS by Jonathan Liu [SIGNED]

イギリスを拠点とするシンガポール人写真家、ジョナサン・リウの作品集。本作は、ポルトガル語で郷愁、憧憬、思慕、切なさなどが融合したような複雑な意味合いを持つ「サウダージ」について個人的に作家が思い巡らせたところから始まった。「願望とは如何にしてただ単純に望まれないのか」ではなく、「繰り返し繰り返され終わりのないサイクルを形成し願望が願望のため願望によって如何にして持続するのか」ということをコンセプトとした。そこに至る前にまず、作家は衝動的にノルウェーでロードトリップを敢行することを決め9日間滞在。「私のこの決断は、願望そのものが持つ飽くなき欲により駆り立てられたのか?」という疑問が生まれた。数週間後、数々のポラロイド写真や数百枚もの写真の記録を通してその旅のことを思い出した。がしかし記憶は、直感が働いたほんの短い瞬間瞬間で作られたかけらの中にのみあり、溢れるばかりの写真に見られるようなそこで経験した全容の中ではなかった。興味深いことに、記憶の機能は願望とよく似ており、ある意味どちらもそれ自身を餌としている。イギリス人小説家、美術評論家のジョン・バージャー(John Berger)はこう説く。「記憶は全くもって直線的ではない。放射状に機能し、膨大な数が合わさり同じ出来事へ導いていく。」本作「LAYERS」は直線的でない我々の記憶の中の「層(layers)」を意味する。何かをもう一度呼び起こそうとする時、その何かは状態を変え、我々がそこに立ち戻る時にはいつも違うものになっている。ある時は現れてくる姿の明確さを認識し、またある時は認識の向こう側にある色褪せた儚い存在や、記憶の続かなさや断絶に気づかされる。

by Jonathan Liu

REGULAR PRICE $23.00

softcover
32 pages
140 x 210 mm
black and white
limited edition of 83 copies
2017

published by SELF PUBLISHING