LIAR LÜGNER by Ruth Erdt
スイスとベルリンを拠点に活動するフォトグラファー、ルース・エルト(Ruth Erdt)の作品集。嘘と嘘つきをテーマとし、親しい知人や、見知らぬ他人、風景写真を通じて、写真に根源的な真理があるとすれば、それは果たして何なのかを追求する。本書はモノクロとカラーの写真を一枚ずつ見開きの左右に配置したページ構成となっている。液体の中に沈んでいる、何かよく分からないが有機的な物体を写したモノクロ写真は、別のページではカラーになって再び登場する。このように、一つのイメージをカラーとモノクロの2つに変換して登場させるという「再演」が本書ではいたるところで行われている。デジタル写真と映像を中心に制作する作者が、本プロジェクトでイメージを動画から生成したのは、カメラの中に装填されたフィルムに届き、触れ、浸透する光こそ、写真の中の真実の最後の痕跡であるからだ。本書のページをめくると、これらのイメージを読み解き、隠されているリアリティを見つけるのに役立つような判断基準がほとんどないことに気づく。そしてこのことは、そもそも写真というメディアに誠実さを期待することができるかどうかという問いを投げかけている。
by Ruth Erdt
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