イギリス・マンチェスター出身のヴィジュアルアーティスト、クローデット・ジョンソン（Claudette Johnson）の作品集。

イギリスにおけるブラックアート運動「British black arts movement」の創設メンバーである作者が、2021年10月から11月にかけてロンドンの「ホリーブッシュ・ガーデンズ（Hollybush Gardens）」で開催した「Claudette Johnson: Still Here」展、2023年3月から4月にかけてニューヨークの「オルツザー・プロジェクツ（Ortuzar Projects）」で開催した「Claudette Johnson: Drawn Out」展に伴い刊行された。あわせて、ロンドンの「コートールド・ギャラリー（The Courtauld）」でも、2023年9月から2024年1月まで個展「Claudette Johnson： Presence」が開催されている。

先述のように、ブラックアート運動に深く関わりながら、同世代で最も重要な具象芸術家の一人に数えられる作者は、30年以上にわたって黒人の女性や男性をテーマに、親密であると同時に力強い、大規模なドローイングを制作してきた。ダークなパステルカラーのモノクロームで描かれた作品から、色鮮やかなガッシュや水彩で生き生きと描かれた大作まで、作品にはさまざまな表現手段が駆使されている。

友人や親戚、そしてしばしば自分自身を描いた作者の唯一無二のドローイングは、本人が語るように、「この国における私たちの存在についての別の物語を語っている」。

ロンドンの「コートールド美術研究所」で近現代美術と批評的人種美術史の教授を務めるドロシー・プライス（Dorothy Price）教授が書き下ろした論文に加え、アーティストで映画監督のジョン・アコムフラ卿（Sir John Akomfrah）との対談も収録。