NO FISH by Sarah Schneider

当時、無花果は木に未熟なままぶら下がり、私はほとんどの夜を、ベットの上で寝られずにいた。私たちは夕暮れ時の中庭で夕食を食べ、草が生い茂った中に座り、空が暗くなるのを眺めた。私たちはパンを焼いた。安物のラウンジチェアで日光浴をした。私は飛び込むのが怖く、腕を振りながら湖のほとぼりに立った。私たちは小さな子羊や空っぽな畑を通り過ぎながらスーパーマーケットまで長い散歩をした。カブトムシが波に流されるのを助けたり、道端の木で採ったスモモでタルトを作った。私たちはジェットコースターと結婚した女性の動画を見た。

ベルリンを拠点とするアメリカ人アーティスト、サラ・シュナイダー(Sarah Schneider)の作品集。作者は2016年の夏にスイス、イタリア、ギリシャを旅し、アーティストレジデンスで過ごした際の経験からアーティストブックを制作した。本書は、平凡でシュールなものであると同時に、共有された瞬間や、静かで不気味なシーンを提示し、一時性と経験が私たちの場所への解釈をどのように形成しているのかを注意深く問いかける。永遠に続くものなどあるのだろうか。古代彫刻、山脈、記憶、愛?本書では、文を書くことと絵を描くことで、私たちが帰れない身近な場所に関する個々人の物語を紡ぐ。

by Sarah Schneider

softcover
32 pages
179 x 255 mm
color, black and white
2019

published by 5B