スロバキア人コンセプチュアル・アーティスト、ローマン・オンダック（Roman Ondák）の作品集。本作は、知覚に関するモノグラフとみえる書物から切り取った、イメージ群とキャプションからなる一連の細かなパーツで構成されている。

ギャラリー内の壁に個々、あるいは二連、三連で組み合わせて展示されたこれらの切り抜き写真は、個人や集団の関係や交流、身体の動き、心の投影、一瞬の直感、あるいは作者の研究の基盤となる宙に浮いた状態など、普遍的な言語を形成している。

様々な高さで飾られたイメージ群や短いテキストは、類似した、または対照的なジェスチャー、姿勢、視線をバランスよく組み合わせることで、機微なニュアンスの心理状況や日常の姿勢を捉えている。このような作者による介入によって展示空間は「編集」されている。

このミクロとマクロが互いに反映する作品において、作者は現実に代わるものを与えることを目的としない。むしろ、現実が提示する様々な観察や解釈にアクセスし、それを識別するための鍵を鑑賞者に与えているのである。