イギリス人アーティスト、トレイシー・エミン（Tracey Emin）の作品集。その作品は率直で告白的な作風で知られ、自身の内面で繰り広げられる世界を親密な芸術作品へと昇華させている。今、作者は世界で最も有名なアーティストの一人となり、その名は広く知られ、芸術界において重要な存在であり、大英帝国勲章デイムコマンダーの叙勲を受けている。

その活動は、絵画、ドローイング、映画、写真、アップリケ、彫刻、ネオンなど多岐にわたるが、近年は絵画により集中しているように見える。エゴン・シーレ（Egon Schiele）やエドヴァルド・ムンク（Edvard Munch）の作品に影響を受け、挑発的かつ挑戦的でありながら脆い。深く個人的であると同時に普遍的でもあり、それゆえに作品は世界中で尊ばれ、国際的に高く評価される存在となっている。

本書では、1990年代から今日に至るまで制作されてきた、筆致露わに表現豊かな具象絵画を300点以上の図版で紹介する。作者と親交の深いアーティストであるデイヴィッド・ドーソン（David Dawson）との対談、作家であるジェニファー・ヒギー（Jennifer Higgie）のエッセイも収録。作者との密な共同作業により制作された本書は、そのエモーショナルな絵画作品に特化した初刊行物であり、魂がこめられた作品をこれまでにない形で紹介する。