PIERRE PAULIN PROGRAM by OMA
フランス人インテリアデザイナー、ピエール・ポラン(Pierre Paulin)の作品集。本書は、2019年に「Paulin, Paulin, Paulin」とオランダ人建築家レム・コールハース(Rem Koolhaas)率いる「OMA(Office for Metropolitan Architecture)」とのコラボレーションにより実現した、未完のプロジェクト「ルモワーヌ邸」に関する内容を収録した1冊。
「ボルドーの家(ルモワーヌ邸)はジレンマだった。建築が、非常に特殊な要求、つまり重度のハンディキャップをもつ人の暮らしを考えつつ、同時に、その家族にも自由な暮らしを提供することは可能なのか?この2つの野望について、『挑戦すること自体が少しばかばかしい』という批判もありました。家具を建築と現実の生活の仲介役と考えるなら、家の開放性とその独特な意図との間の緊張は、四方に開口したガラスの箱である中層階で最も顕著に現れる。ここでは、どんな家具も、伝統的すぎる、デザイン的すぎる、おしゃれすぎる、凝りすぎる、モダニストすぎる、ヴィンテージすぎる、きれいすぎる、安すぎる...と厳しく検証され、露出される。また、個々の作品はうまくいっても、それらを相互に作用させるのは難しい。建築の使命として、外の風景の豊かさを考えると、中層は家具を一切置かず、建築として厳密に機能させるのが一番いいと思うのですが...。
ピエール・ポランの作品を理解すればするほど、特に2016年にポンピドゥー・センター(ボブール)で開催された回顧展の後、家具の全領域で活動したい、むしろそれを拡張したいという気質を感じました。フランス大統領のための超特殊な作品から、政治的、歴史的、ひねくれたものに近い作品、そして家具を超えた領域での実験まで、家具は特定の作品のデザインとしてではなく、可能性を拡げる開発として、あらゆる建築物にまたがり、くつろいだり、話したり、食べたり、寝たり、そしてもちろん、特定の家具が必然的に課す好ましくない制限から解放されて、居住者同士で起こりうるその他の交流を多岐に渡り提供します。
ポランのユートピアがボルドーで実現されるのを見ることは、2つの『解放』の相互作用を判断する真の機会を与えてくれます。」
―レム・コールハース