アメリカ人彫刻家であり、ビデオ、サウンドアーティスト、フォトグラファーであるポール・ファイファー（Paul Pfeiffer）の作品集。2023年11月から2024年6月まで「ロサンゼルス現代美術館（MOCA）」の別館である「ゲフィン現代美術館（The Geffen Contemporary）」で開催された、アメリカ国内初の回顧展に伴い刊行された。

最新の彫刻作品やインスタレーション作品への実践と、時代を象徴するような写真作品やビデオ作品を紹介する一冊。意識を形づくる中でマスメディアが果たす役割を解剖すべく、作者が最近の技術をふんだんに使用していることが本書から伺える。作者は作品を通じ、いかにしてイメージがそれを消費する観衆を形成しているのかを問う。

作者の言葉を借りるなれば、「疑問はいつも湧いてくる。誰が誰を利用しているのか？イメージは我々を作るのか、それとも我々がイメージを作っているのか？」セレブリティに熱狂する現代文化に取り込まれる信仰、欲望、そしてそのいずれも、作者の作品は媒介となる。キュレーターであるクララ・キム（Clara Kim）、ポーラ・クロール（Paula Kroll）、映画史研究者のトム・ガニング（Tom Gunning）によるエッセイとあわせ、美術史家でありキュレーターのシャノン・ケンジ・プラエピパットモンコール（Chanon Kenji Praepipatmongkol）、アーティストのジュリー・メレツ（Julie Mehretu）、グローバル現代建築環境史研究者であるローレンス・チュア（Lawrence Chua）との対談を収録する。