イギリス人アーティスト、レイチェル・ホワイトリード（Rachel Whiteread）の作品集。

本書は2005年にオーストリアの「ブレゲンツ美術館（Kunsthaus Bregenz）」にて開催された展覧会「Walls, Doors, Floors and Stairs」に伴い刊行された。作者は、ものや空間の中に石膏やゴム、レジンといった素材を流し込み、型を取るキャスティング（鋳造）の手法を使った作品で広く知られている。部屋全体や空間の細部を鋳造することで、非物質的でありながらも正確かつ比喩的な印象を残す、空間を揺るぎなく占領する物体や空間を作り出す。本書では、家を構成する要素である壁、ドア、床、階段をテーマとした4つのシリーズを紹介している。これらの作品は、私たちを取り囲む建築物が持つ機能性を、オーラに満ちたアートへと変換する。キャリア初期作品と展覧会で発表された新作で構成されており、作者の注目すべき経歴を概観するのに役立つ一冊。50点以上のカラー図版に加え、批評家による4つのエッセイが作者の作品の本質を詳しく解説している。