オランダ人アーティスト、マクテルド・ラレンズ（Machteld Rullens）の作品集。日々の生活環境は、捨てられたものや見過ごされたもので溢れている。この「スクラップヤード・リアリティ」は、そのアプローチ次第で呪いにも好機にもなり得る。作者にとっては、まさに後者が当てはまる。我々を取り巻く廃棄物の山に遊び心を持って接し、人工と自然の間に潜在する共鳴を世に明らかにする。「ZOLO PRESS」から出版された作者の作品集としては第二作目である本書では、この変容のエネルギーが日常のありふれた物や周囲の環境の形態的な特性を再設計し、再構築する。本書は、作品、友情、家族との時間、そしてセネガルからニューヨーク、ロサンゼルスからアムステルダム、さらにオランダの田舎までの旅を含む3年間を記録している。複雑さが主流になりがちなこの世界において、本書は、気軽さと奥深さの調和を楽しむためのマニフェストであり、シンプルさの中にある美と創意工夫の中にある優雅さを見出すように読者を誘う。