SCULPTURES by Oda Jaune
ブルガリア生まれ、パリを拠点とするアーティスト、オダ・ジョーネ(Oda Jaune)の作品集。作者はこの世のものとは思えない身体を大胆に描写した大規模な作品で知られている。絵画と彫刻の中の身体は、社会的であると同時に生物学的な実体として描かれている。本作は、想像上の身体でできた非常に私的な椅子やスツール、テーブルのシリーズ。何の使い道もない人の形から実用的なものを作り出した。様々な素材と手法が使われているユニークな作品群は彫刻のための試作であり、将来的には各3体がブロンズ鋳造される予定である。また、これらは絵画が空間を占めるようになり彫刻が絵画になるという変身を象徴している。写真集を制作するにあたって、作者はもともと作品に人が座っていたり使っていたりするところを写真に撮り、カタログの中の調度品のように見せることを考えていた。その後、出版と芸術の世界の重鎮であるベーダ・アッカーマン(Beda Achermann)がクリエイティブディレクターとなり、女性のヌードを探求してアート系のファンを獲得したファッションフォトグラファーのカミーユ・ヴィヴィエ(Camille Vivier)を紹介した。これらの彫刻はヴィヴィエの制作にとってインスピレーションを与えるものとなり、ジョーネの彫刻をヴィヴィエは女性モデルが絡むための舞台装置として捉えた。ジョーネとヴィヴィエがスタジオで一緒に作業をするうちに、絶え間なく変化し続ける彫刻の身体と人の身体が固定され、写真の中で一体化していった。互いのジェスチャーが真似され、何度も繰り返され、造形的な形が補足され、完全なものとなった。はっきりした影を作り出すために、ヴィヴィエはしばしば一つの光源を使っている。シュールレアリストの写真を連想させる照明の使い方によって、彫刻とモデルに共通している性質を強調すると同時に、テクスチャーと重みのニュアンスを描き出している。人と彫刻を組み合わせた詩的な世界観の中で、現実のものと想像上のもの、あるいは動いているものと静止しているものといった様々な身体の仕組みと構造がはっきりと表現されている。