SEEING <—> MAKING: ROOM FOR THOUGHT by Susan Buck-Morss, Kevin McCaughey, Adam Michaels
アメリカ人哲学者のスーザン・バック=モース(Susan Buck-Morss)、ニューヨークを拠点としリサーチ&生産の協同組合を銘打つ「Boot Boyz Biz」の主催でありデザイナーのケヴィン・マカーイ(Kevin McCaughey)、ロサンゼルスを拠点とする出版社「Inventory Press」の共同設立者であるアダム・マイケルズ(Adam Michaels)による作品集。三者の協働作業により制作された本書は、カナダ出身の英文学者、文明批評家であり「メディア論」の大家であるマーシャル・マクルーハン(Marshall McLuhan)と、ドイツ系ユダヤ人思想家であるヴァルター・ベンヤミン(Walter Benjamin)による著作をもとに、その理論を実験的なイメージ・テキストとして一新している。
本書は、イメージを用いてアイデアを構築する創造的なプロセスを研究し、提示している。言葉とイメージ、政治と美学、見ることと作ることの間に生じている空間を、新たな、そして予期せぬものの集積の視覚的モンタージュとして光を当てる実験的な一冊である。理論を可視化することに尽力する3人の文化的プロデューサー陣による、世代を超えたコラボレーションで実現した万華鏡のような本プロジェクトは、スーザン・バック=モースによる斬新な批評的エッセイの選集によって支えられている。「イメージ」と「アイデア」は、視覚文化、歴史、政治、美学について論じるスーザン・バック=モースの鋭いテキストと同期し、批評と視覚的な遊びを融合させ、集められた想像力と社会的行動を結びつける。
本書は、マーシャル・マクルーハンとグラフィックデザイナーであるクエンティン・フィオレ(Quentin Fiore)の著書『メディアはマッサージである(英題:The Medium Is the Massage)』、ヴァルター・ベンヤミンの『パサージュ論(英題:Arcades Project)』、美術評論家であり小説家のジョン・バージャーによる(John Berger)『イメージ 視覚とメディア(英題:Ways of Seeing)』などのダイナミックな感性に基づき、デザインおよびコンテンツが制作されている。
この革新的な一冊は、これまでスーザン・バック=モースが書いてきた文章の中で通常の文脈では現れてこなかった実験的かつ視覚的な作品が前面に表出している。