SOUND INSCRIPTIONS ON FABRIC by Gabriel de la Mora

メキシコ人マルチメディアアーティスト、ガブリエル・デ・ラ・モラ(Gabriel de la Mora)の作品集。本書は、ニューヨークのギャラリー「ドローイング・センター(THE DRAWING CENTER)」で2016年に開催された展覧会に伴い刊行された。

作者は、卵の殻、捨てられた靴といったファウンド・オブジェクト(※註1)から視覚芸術を構成することで最もよく知られている。拾ったものや捨てられたもの、使われなくなったものを集め、その分類のプロセスを通じて各オブジェクトを分解し、写真を撮り、記録するという手法を取っている。この使い古された「物」は、日常生活に関する歴史的な情報が貯蔵された場所である、と作者は表現する。

本展覧会では、拾われたスピーカーのサランネット(※註2)55組を用いたインスタレーションを展示した。無数の声、広告、ニュース放送、ソープオペラ、フットボール中継や音楽、そしてノイズ、雑音障害、沈黙までもを録音してきたスピーカーが使用されていた間に、その中を循環した埃や空気によって「描かれた」シミのような痕跡が、それぞれのサランネットに刻まれている。本書は、全展示作品をフルカラーで掲載しているほか、アメリカ人キュレーターのブレット・リトマン(Brett Littman)による新しい学術論文も収録。「Gabriel de la Mora: The Readymade Drawing」と題し、作者のドローイングに対する独特なアプローチは、アーティストの手による直接的な創造というよりはむしろ、持続的で、レディ・メイド的なものであるとして論考している。

※註1 一度他の目的に使用された「物」のことで、そのなかでも芸術作品を構成する要素として流用・転用された「物」を意味する。マルセル・デュシャンのレディ・メイド作品など。

※註2 スピーカーの保護をする網状の部品

by Gabriel de la Mora

REGULAR PRICE ¥5,500  (tax incl.)

softcover
90 pages
150 x 225 mm
color
2016

published by THE DRAWING CENTER